抽象表現主義

[ 1940年代, ]

抽象表現主義 『ジャクソン・ポロック 新版』
藤枝 晃雄 著
(東信堂)

1940年代後半~60年代初頭、アメリカで隆盛を迎えた抽象絵画の動向。代表作家としてジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、バーネット・ニューマン、ウィレム・デ・クーニングらが挙げられるほか、彫刻家のデヴィッド・スミスらも同じ一派にくくられることが多い。彼らの作品には、テーマや技法においてはそれぞれ異なるものの、大きなキャンバスの全面に絵具を塗布する描画法のほか、「地」と「図」の反転した無焦点もしくは多焦点な構図、深い精神性などの共通点が指摘できる。抽象表現主義とは、もともとカンディンスキーら大戦前のヨーロッパの抽象絵画を指す言葉であったが、多くの代表作家と密接な関係にあった美術評論家クレメント・グリーンバーグらの批評活動を通じて、戦後しばらくして現在のような意味が定着した。同時期のヨーロッパの抽象絵画の動向であるタシスムも、現在では抽象表現主義に統合して考えられることが多く、第二次世界大戦後に美術の中心地がヨーロッパからアメリカに移行した歴史的事実を象徴する動向としても考えられている。なお、ほぼ同義の概念としてアクション・ペインティングが挙げられるが、こちらは作品の形式よりも作家の身体性に力点を置いて命名された用語である。