Animation Meister

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富野 由悠季

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自ら数々のアニメ作品を生み、アニメ界のカリスマとなりながら「アニメを見るな!」と公言する富野監督。その言葉の背景には彼がいかに本気でアニメを、そして映画を愛するかが秘められている。出版、映画、フィギュア、サンライズ、アニメーター、本気。これら6つのキーワードには富野由悠季という人間のもつ哲学を探ってみた。

Keyword1 出版

富野監督には自伝的エッセイ『だから僕は…… ガンダムへの道』(角川スニーカー文庫)、『ターンエーの癒し』(角川春樹事務所)や、アニメ作品とリンクした創作など数々の著書がある。「稼がせてもらっておいて言うのもアレですけど、アニメ雑誌が出始めた頃あたりから、日本の大手の出版社は大人の見識、社会人としての見識を失い始めたんじゃないかという気がしています。一般週刊誌にヘアヌードが載ってるなんてどう考えてもおかしいですよ! 出版社の人は暮らしていくための経済効率論として“しょうがないじゃない”って言い訳をするけれど、大人としての矜持を正していただきたいと思っています」

Keyword2 映画

これまでの富野監督の劇場用作品は、既存のTVシリーズの素材に新作カットを加えるなどして再構成した<作品>と、一から新しく作られた<作品>の2つに分けられる。前者には『機動戦士ガンダム』三部作、『伝説巨神イデオン』二部作、『ザブングル・グラフィティ』、『∀ガンダム』二部作があり、後者には『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『機動戦士ガンダムF91』がある。最新作『機動戦士Zガンダム』三部作は前者のパターンでエイジング処理を施し、音声も5.1ch化し、新解釈も加えられた全く新しい形・テイストの作品として誕生しました。2005年より順次公開予定です。この状況を監督は「なりゆきでこうなっただけのことなんだけど、このキャリアがあったおかげで、映画の特性が物語の構成にあって、情感ではない、気分で創っちゃいけないものだ、と学ばせてもらえました」と語る。

Keyword3 フィギュア

初回放映時には打ち切りの憂き目にあった『ガンダム』がにわかに人気を高めていった背景には、放映終了の半年後にバンダイから発売された1/144スケールの精巧なプラモデル、通称<ガンプラ>のブームがある。以来、<ガンプラ>はシリーズを追うごとにラインナップを増やし、今日までに累計3億個以上を売り上げたとか。まさに、今日のフィギュア・ブームに先鞭をつけた『ガンダム』だが、生みの親の富野監督はクールなもの。「今、フィギュアが注目されているのは、今までこんなに小さくて精巧なものを誰も見たことがなかった、というだけのことじゃないのかな。でも、すぐにみんな飽きますけれど、このムーブメントのなかから、次のアーティストも生まれてきますね」

Keyword4 サンライズ

1976年、サンライズスタジオと創映社という会社が合併し、(株)日本サンライズとなる。その第1号シリーズが富野監督の『無敵超人ザンボット3』だった。さらに、『無敵鋼人ダイターン3』『機動戦士ガンダム』と続き、その後も富野監督のほとんどの作品の制作母体となっている。'87年に(株)サンライズとなり、現在はバンダイグループの一員。最新の劇場用作品に大友克洋監督の『スチームボーイ』がある。富野監督はサンライズの若いスタッフもアニメ好きばかりだと苦虫を噛みつぶす。「この会社に入ってくる人も、かつてはサンライズ系の作品しか作れない人ばかりという状況が続いてました。でも、ここ2〜3年で、ようやく変わりつつあるところです。ムリに脱ロボット物なんて言わなくっても現実は拓けてくるでしょう」

Keyword5 アニメーター

「アニメーターと呼ばれる人たちは映画で言えば役者のようなものですから、絵が上手というその一点だけでこの業界に来ていただいても結構です。しかし、宮崎駿さんのように物語の支配権まで持ちうるアニメーターになりたかったら、絵が上手いだけじゃダメですね。ちょっと聞きますけど、宮崎さんの絵って、上手いと思いますか? 言うなればアニメ絵ですよね。絵としては決して上手じゃない。では、アニメとしてまずいか? ちっともまずくない! 動かすならあれしかないし、見事なアニメになってるわけですから。今は絵が上手いアニメーターはいっぱいいます。そういう人が監督になったりして作品を作るけれどいいものがない。絵の上手い彼らの作品が、宮崎さんのアニメ絵に敗北せざるを得ない、っていうことの意味を、もっと真剣に考えなくちゃいけないんです」

Keyword6 本気

富野監督は業界で名をなすことができるのは、結局のところ、その人が本気かどうかにかかっていると言う。 「この間オリンピックがありましたけれども、あんな大舞台の用意されていないアニメの社会、あるいは我々が暮らす普通の社会には、実は本気の人はあまりいません。本気の人はやっぱり、表に名前が出てきますよ。もっとも、有名になるだけだったら、ちょっと頑張ればなれるんです。もっと大変なのは、それを20年続けるということ。実感として言いますが、なまじのことでは20年もちません。半分は本人の努力もありますけれど、半分は時の運ですからね。それに乗れるか乗れないか、です」