「子どものころから憧れていた"マンガの神様"であるにも関わらず、アニメのスタジオでは有名作家であるというようなおごったところは一度も見たことがない」「もちろん、作家だから、つくり手としてはワガママなんですけど、自分をマンガ家、僕たちをアニメーション作家として育ててくれたんです」。
それまでのフルアニメーションの作画数を大幅に減らし、動きを極限まで省略したアニメ手法。手塚治虫が『鉄腕アトム』の製作時に考案し、日本アニメの主流になった。アニメの多様性を生んだと同時に、アニメーションを低予算化させ、質を低下させたという批判は現在までもつきまとっている。
大学で講師をしている杉井氏は学生たちに“旅”を勧めているのだという。「学生には一日でもいいから旅をしてこいって言ってるんです。目的なしに電車に乗って、適当に見知らぬ駅でおりてぶらぶらしてみる。それだけで非日常ですからね」「行き先が決まっているのはあくまで旅行。旅というのは終着駅が決まっていない、目的がないものなんですよ」。
『注文の多い料理店』『雨ニモ負ケズ』『よだかの星』など無数の傑作を残しながらも生前はほとんど注目されなかった岩手県出身の作家・詩人。郷土、岩手をこよなく愛し、大自然に囲まれながらもどこかSF的な作風も持つ。見えないものを認めたときに初めて見えてくるものがある、をテーマに、杉井さんは宮沢賢治作品で3部作をつくりたいそう。
「暗い話題ばかりのいまだからこそ、新しいことができるおもしろい時代。何かに追随するよりも、ゼロからつくるほうがよっぽどワクワクする」とは、さすが日本のアニメーション界の先進者を感じさせる発言。「自分のリズムに合わないのに、時代の流れに乗ることはない。ニートなどの出現も、若い人が現代社会に動物的危機感を持っている証拠」と語る。
イーハトーブ(宮沢賢治の好んだエスペラント語読みで「岩手」の意)の火山局技師グスコーブドリの人生を追った賢治の自伝的作品とも言われる物語。生前、ほとんど正式に作品を発表しなかった宮沢賢治の原稿には、草稿のバリエーションが多数残っている作品があり、その解釈はしばしば人によって異なる。映画『グスコーブドリの伝記』の杉井流の解釈が気になるところ。
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1940年、静岡県出身。アニメーション監督。19歳でアニメーションの世界に飛び込み、日本初の長編アニメーション映画『白蛇伝』にアニメーターとして関わる。虫プロで『鉄腕アトム』などを監督、『日本昔ばなし』シリーズを立ち上げたと同時に日本各地を放浪し、10年あまりのブランクを経て『ナイン』『タッチ』といったあだち充作品で復帰。1985年の『銀河鉄道の夜』で絶対的な評価を得る。現在、同じく宮沢賢治作品の『グスコーブドリの伝記』を製作中。









