Vol.5 川本 喜八郎

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キーワード

Keyword1 作為のないデザイン

「僕は、図形は丸や四角しか描けないし、タイポグラフィーにも特にこだわりがありません。そこで、逆にそういったデザイン的ボキャブラリーの少なさを活かして、単純なエレメントとプロポーションだけで、デザインを成立させているんです。理想的には、センスのある素人がポンとやってみたら、“なかなかいいじゃないか”という感じかな。自意識や作為が見えないことがテーマですね」

Keyword2 2周目の人

「ゼロから新しいスタンダードをつくりだすというよりも、他の人が手がけた色んなものを見て、それらを自分なりに組みあわせていく。自分の意識としては、“2周目の人”という感じで、パイオニアが開拓したものを、さまざまに組みかえて、鮮明に映るようにしていくんです。コンピューターやウェブの世界の創生期を支えた僕らの前の世代には、誰もやったことがない荒野が開けていて、“1周目の人たち”がそこをドンドン開拓していきました。それでもまだそこは“荒い”から、2周目の僕らにもたくさんやりようがあった。それを考えるのがうまかったのかもしれないですね」

Keyword3 ヤンチャな仕事

「この仕事をはじめて、だんだんとプロとしてのデザインの難しさに気づいていくなかで、創作の手がちぢこまった時期もありました。そんななか、イギリスの『tomato』というデザイン事務所と仕事をしたのですが、彼らの仕事はよくも悪くも“ヤンチャ”で、大風呂敷を広げるんだけど、最後には納得のいくものをつくるというやりかたが、とても眩しく見えたんです。それで、“やっぱり自分もヤンチャな仕事をしよう”と考えるようになりました」

Keyword4 音楽

中村氏の制作するウェブサイトは、インタラクティブなデザインと連動した、独特のリズム感や音楽も大きな魅力。「日常における音楽の存在感が好きなんです。好きな曲はいつまでも聴いていられるし、イヤじゃない瞬間がずっとつづいていく。僕はデザインにもそういうものを求めていて。自分が音楽を使うときは、ただのBGMとしてではなく、全体のなかでのある機能を占めるものとして、デザイン的に位置づけています。視覚効果と同様に、聴覚効果を狙っているので、独特に見えるのかもしれませんね」

Keyword5 双方向性

ユーザーが主体的に関わるインタラクティブ・インターフェースの第一人者として、ウェブ広告の概念を変えてきた中村氏。ユーザーと広告の関係について氏はこう語る。「双方向性のあるウェブというメディアだから、やっぱりユーザーに積極的に関わってほしい。その関係のなかで、ブランド体験をしてもらったり、メッセージを伝えたり、ということを試みたいと思っています。広告効果が高いかどうかは微妙なところですが、自分が体感したほうが、イメージがより深く伝わるのではないか、と思っています」

Keyword6 自己実現

「僕自身もまだまだつくりたいものがあるし、ウェブの世界はつくり手の自己実現の場であってほしいと思います。いまのネットでの創作は、時間のある素人が強い。しかしながら、それらが世のなかできちんと評価されて、仕事に繋がることはあまりありません。とくにメディアアート界などでは、ハードコアにやっている人ほど報われないという現状があるので、そういった種類のものも世の中的に成立しやすくなっていくような流れをつくっていきたいですね。“好きなものをつくることが仕事になる”というプラットフォームができたらなと」

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