「狭い長屋に大家族が住んでいたものだから、人を観察する目がいやがおうでも養われましたね。そこでは誰の機嫌がよいか悪いかを察知していないと困るんですよ。たとえば姉の機嫌が悪かったりすると、普段なら見逃してくれることでも許してくれないとか。そこで態度や表情で判断して、できるだけ機嫌の悪い人から遠ざかって余計な地雷は踏まないようにする。そんなことをいつもやっていたから、大人になっても人が集まっている場所で誰がつまらなそうにしているかとか、パッと見るくせがつきました。観察眼はバッチリです」
「『あなたの人生の決断はどこですか?』って聞かれたら、迷わず高校進学と答えます。私はわりと成績もよかったから進学校に行く予定で、親もそう思っていたし、友達も『一緒に行こうね』って。でも先輩に聞いたら、ものすごく勉強しないとついていけないと言われて、そんなことをしていたらマンガを描く時間がとれない、しかもそこでマンガを描いていたら、成績が落ちて親に怒られる、と思って考えなおしました。そのときにはもう“マンガ家になる”と決めていたので、マンガを描くために、兄の通っていた商業高校へ進学することを決断しました。でも、あのときは本当に悩みましたね」
1974年に発表した『デザイナー』は、ファッション業界を舞台に、モデルからデザイナーへ転身した娘・亜美が、自分を捨てたトップデザイナーの母・鳳麗香に復讐を企てるという物語。「本当は母親のほうを主人公にしたかったのよ。でもさすがに「りぼん」では難しいから、娘の亜美を主人公にして。だからタイトルの『デザイナー』は鳳麗香さんのこと。デザイナーとして、プロフェッショナルとして生きる女性のプライドを描いているんです」
「悩んでいるときは、すぐ自分に課題をだす癖があるんですよ。『デザイナー』の連載が終わって描きたいことが見つからなかったとき、あえて自分が苦手だと思っていたメロドラマにチャレンジして『砂の城』を描いたり。いま連載中の『プライド』では、いままで自分の好きなタイプか、反対に嫌いなタイプしか描いてこなかったので、『好き嫌い関係なしに、ひとりの人物をきちんと描けるようになろう』と。だから史緒にしても萌にしても、『何でこんな考え方をするかな〜』って突っ込みながら描いていますね」
「私、じつはあまり“恋愛”をテーマに少女マンガを描いてないんですよ。本当に恋愛そのものだけを描いたのは数えるほどしかありません。恋愛だけで終わるのはイヤなんです。どちらかというと“成長”で終わるほうがいい。でも人間は恋愛で成長することが多いから大切な要素のひとつということで、“恋愛を隠れ蓑にして少女マンガを描いている”というのが正しいです」
「今年でデビュー40周年。実感としては……『いつマンガをやめてもいいや』かな(笑)。自分のなかで達成感というか、なにか『やったぜ!』という気持ちになっています」
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1949年岡山県に生まれる。1968年『雪のセレナーデ』が第1回りぼん新人漫画賞準入選、デビューを果たす。以後『デザイナー』『砂の城』『有閑倶楽部』などヒット作多数。









