Vol.6  高谷 史郎

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Keyword1 ダムタイプ

1984年、京都市立芸術大学の学生を中心に、演劇、ダンス、映像、音楽、デザインなど、さまざまなジャンルのアーティストたちが結成したアーティスト・グループ。パフォーマンスや、インスタレーション、CDといった媒体を用いて、ジェンダーや、生と死、記憶などをテーマにした表現活動を行なってきた。その作品の多くは、いまでも世界各地で公演が行なわれている。
「ダムタイプは、大学のサークルから発生した集団でしたが、『お前1回生だから早くペンキ塗っとけ』、みたいなことはなかったですね。そういう体育会系なところがなかったから僕もやっていけたんだと思います。いままで見たこともないことをやろうよ、ということで集まっているのに、ヒエラルキーにとらわれるなんて恥ずかしいじゃないですか。いまでもメンバー間の関係性はつねにフラットであるようにと思っています」

Keyword2 古橋悌二

ダムタイプのリーティング・メンバー。グループのまとめ役であったことはもちろん、映像、音楽、パフォーマンスと、ダムタイプのあらゆる分野で活躍したが、1995年、AIDSによる敗血症でこの世を去った。
「古橋が、ダムタイプの中心的人物だったことは確かです。しかし、だからといって彼がピラミッドの頂点となってすべてを統制していたというわけではありませんでした。ただ、いまから思うとね、彼はそれぞれの人のさまざまなアイデアを、全員が納得できるような形でまとめることがすごく上手だったと思いますね」

Keyword3 京都

(ダムタイプをはじめ、京都からはキュピキュピなど、興味深いパフォーマーが出ている、という質問者の指摘に対して)「僕自身は京都という地域性についてあまりよく考えたことはありませんが、京都は人が集まったりするのにちょうどいい大きさなんですよね。たとえば、みんな自転車で来られるような距離に住んでいるから、終電とか考えずにいつまででも話していられるし、アーティストとか、音楽家とか、いろんな人が身近な距離に住んでいて、コミュニティを作りやすい。これが東京だと、住む場所も離れているし、『僕は何時から次の予定があるから』みたいな話になるじゃないですか(笑)、そうしたら1時間しか話せなかったり、その1時間のなかでまとめなきゃいけなかったりするでしょ。そうすると話もすごくシステマティックになりますよね。でも、京都の場合は、いつまでたってもだらだらしゃべっていられる。ダムタイプはそういう風土から生まれたのかもしれませんね」

Keyword4 『S/N』

古橋悌二が自らのHIV感染の事実を踏まえ、AIDSや性、アイデンティティなどをテーマに、「S(シグナル)」と「N(ノイズ)」に象徴されるさまざまな境界(芸術と社会、虚構と現実など)をぶらすことで浮きあがらせた、ダムタイプの衝撃作。初演は1994年、古橋は翌年に亡くなった。高い壁面をパフォーマーが疾走し、その姿をストロボの閃光によって静止画のように見せるパフォーマンスが知られる。
「『S/N』は思い出深い作品ですね。それまでのダムタイプの作品と比較してすごく言葉を重要視した作品です。キャバレー的シーンや出演者同士のプライベートトークのようなシーンを、まるでそれを盗み見ているような演出もあり、エイズやセクシャリティの問題が全面に出た作品でした。僕はこの映像を古橋と一緒につくったんですが、とにかく時間もお金もなかった。使用したテキストの量も半端ではなく、アデレードでの初演に向かう飛行機のなかで、ギリギリまでスライドつくったりしていました(笑)」

Keyword5 写真

「いま個人的には写真に興味があって、フィルムで撮った写真で作品展も行なっています。僕は、デジタルカメラで撮った映像をプリントするというのは考えていません。というのは、コンピューターに入ったデジタルカメラの画像は、『データ』として使うのが正しいような気がしてしまうんですよ。それとは逆に、フィルムで撮って紙にプリントした写真は、『もの』として認識しているということなんですね」

Keyword6 アート&サイエンス

「昨年、イギリスの「Cape Farewell」という、文化を通じて気候変動を考えるアート&サイエンスのプロジェクトに参加して、サイエンティストとともに北極圏を冒険してきました。アーティストの中谷芙二子さんのお父さんで、雪の科学者として知られる中谷宇吉郎さんが『アーティストとサイエンティストは、ガラスを1枚隔てているだけだ』、つまり、両者はガラスを1枚隔てて、何がそこで起こっているかを見ようとしているのだ、と仰っています。美しいとか、すごいとか、感動したものを誰かに伝えたい、という気持ちは、伝えかたが違うだけで、芸術家も科学者も一緒なんだと思います。僕は、子供のころ科学者にもなりたかったんですが、いまになって、そういった興味がつながったような気がします」

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