vol.10 エイリアン展 …モシモシ、応答ネガイマス。

エイリアン展 …モシモシ、応答ネガイマス。
【開催期間】2008年3月20日(木・祝)〜2008年6月16日(月)
【会場】日本科学未来館 1階 企画展示ゾーンb

あなたはエイリアンの存在を信じますか? もし、エイリアンが存在するなら、どんな姿をしていて、どんな惑星に住んでいると思いますか? 昔から私たち人類を魅了してきたエイリアン。その存在を科学的な視点から探る「エイリアン展」は、2005年ロンドンをスタートに欧米地域を巡回し、今回アジア地域では初めての開催となります。さっそく訪れてみました。

未知の存在に対する恐怖

会場は4つのゾーンから構成されています。最初のゾーンは「空想としてのエイリアン」。H・R・ギーガーのデザインでおなじみの「エイリアン・クイーン」や、シュワルツェネッガーの映画で有名な「プレデター」など、恐ろしいエイリアンたちが登場。人類は昔から恐怖の対象として、宇宙からの生命体に限らず、怪物や未知の生物を想像してきました。それはなぜでしょう?

「エイリアン(alien)」という言葉には、本来「異質のもの、よそ者、異邦人」という意味があります。社会が不安定な時代、人間は恐怖心からさまざまな「エイリアン」をつくり出してきました。中世から近代にかけて行なわれてきた魔女裁判の記録からも、当時の人々の「エイリアン=魔女」に対する恐怖心が感じとれます。

『ごめんね』マルティーン・コロンプト(1995)
『ごめんね』マルティーン・コロンプト(1995)
かわいいキャラクターに対する人間の暴力的衝動を描いた作品。ゲームの中のエイリアンもしばしば暴力の対象となっていますが、それはなぜでしょう?

恐怖の対象だったエイリアンは、やがて愛すべきキュートな存在へと変化していきます。愛らしい未知の存在もエイリアンだとすれば、妖精や天使もその一種かもしれません。エイリアンによる誘拐の話が、ヴィクトリア時代の妖精による誘拐と似ていることを知っていましたか?

ロズウェルの写真
映像の真偽をめぐって大きな話題を呼んだロズウェルのグレイ・エイリアン

宇宙からの未確認飛行物体や地球外生命。その存在はいまだ明らかにされていないにも関わらず、私たちはフィクションの世界を超えて、さまざまな憶測を行なってきました。
さて、エイリアンは本当にいるのでしょうか?

エイリアンを知ることは私たちの地球を知ること

つづいてのゾーンは「科学としてのエイリアン」。これまで想像の世界のエイリアンを見てきましたが、宇宙に注目する前に、まず私たちの惑星・地球に生息する生き物に目を向けてみましょう。地球上の生命は海から誕生しました。遠く何万光年も離れた惑星に海が存在すれば、生命が誕生している可能性があります。地球の海や生物の進化を調査することで、さまざまなことがわかるのです。

環境と生物のルーツを、さまざまな生物の進化の過程から考える

ふだん目にすることのない世界に生息する生き物は、まさに「地球上のエイリアン」と呼んでもいいかもしれません。海面下3000メートルや5000メートルといった、想像もできない深海の世界で、コウモリダコやウミグモ、フクロウナギなど、摩訶不思議な姿の生物が次々と発見されています。もしかすると、宇宙のどこかにもこんな生物が存在するかもしれません。

フクロウウナギの標本フクロウウナギの標本

海中にはブラックスモーカーと呼ばれる、猛毒の物質が含まれた300℃以上の水が噴出している場所があります。そのような過酷な場所でも生命が発見されています。また、氷の下や温泉、深海から高山と、あらゆる環境に生息するクマムシは、沸騰する熱湯や冷たい液体窒素の中でも死ぬことはありません。そればかりか酸や放射線にも耐えるのです。


極限の環境で生きている実在の生物たち

地球上の極限状態の環境でも、こうした生物が適応することができるのであれば、太陽系や遠くの惑星にも過酷な環境下で生物が誕生している可能性が大いにあるような気がします。

科学者が想像するエイリアンの世界

3番目のゾーンは、最先端の科学を駆使して想像されたエイリアンの世界。生物学者や惑星学者、物理学者が協力して行なった、架空の天体でのシミュレーションがもとになっています。これは、英国のチャンネル4のドキュメンタリー『Alien Worlds(邦題:E.T.の住む星)』として放映されました。

「オーレリア」と「ブルームーン」と名づけられた2つの星の環境やそこに存在するであろう生物の詳細は、科学的な根拠をもとに生み出されたものです。巨大な2つのインタラクティブ展示では、それらの生物を観察したり、指示を与えて動かしたりすることができます。あなたが想像するエイリアンと科学者が考えたエイリアン、はたして共通点はあるでしょうか。

インタラクティブ展示
インタラクティブ展示

地球外生命を探す現実の試み

もし地球外生命が存在するのであれば、どうやってコミュニケーションを取ったらよいのでしょう。科学者たちは昔から、存在するという仮定のもとにさまざまなコンタクトを試みてきました。エイリアンとの交信をテーマにした最後のゾーンでは、ボイジャー探査機に搭載されたレコードに記録された地球からのメッセージや、宇宙からの音を聞くことができます。

また、場内の巨大なディスプレイを使って、宇宙のどこかにいるかもしれないエイリアンへ実際にメッセージを送るような体験ができるようになっています。あなたなら、どんなメッセージを送りますか?

エイリアンへのメッセージをつくってみようエイリアンへのメッセージをつくってみよう

地球外生命の存在を科学的に考えてみることは、地球上の生命誕生や進化の過程を探ること。エイリアンの存在を信じる人も信じない人も、私たちの地球から広大な宇宙のまだ見ぬ惑星まで、新たな視点で見つめ直すチャンスとなる展覧会です。

会期中には、毎日実施される「ミッション・レポート」をはじめ、宇宙や生命に関するワークショップやトークイベントも開催される予定です。詳細は公式サイトでご確認ください。